理論物理学生セミナー2026

Asia/Tokyo
Description

本研究会は、素粒子論・原子核理論・宇宙論・凝縮系理論・統計動力学・量子情報およびその周辺の学生を対象としたオンライン研究会です。この研究会では、上記分野の学生が交流し、新しい研究が生まれる機会を提供することを目指します。

講演内容に関しては、他研究会・学会・セミナーと同じ内容での発表、およびレビュー発表を歓迎します。また、学会や学内発表の練習の機会としてもお役立てください。

質問等ございましたらお気軽にご相談ください。

また、アブストラクト提出の締め切りは2/22から2/27に延長となりました。

招待講演者(敬称略)

  • 田中貴浩(京都大学)
  • 谷崎佑弥(京都大学 基礎物理学研究所)
  • 北原鉄平(千葉大学)
  • 佐藤純(東京工芸大学)
  • 近藤慶一(千葉大学)

運営スタッフ

  • 田嶋 大雅(名古屋大学)
  • 高間 俊至(京都大学 基礎物理学研究所)
  • 中野 新太朗(東京大学 Kavli IPMU)
  • 志賀 智仁(立教大学)

運営アドバイザー

  • 横倉 孝洋(東北大学)
  • 片山 友貴(総合研究大学院大学 高エネルギー加速器研究機構)
  • 三浦 憂(京都大学 基礎物理学研究所)
  • 井上 真人(東京科学大学)
  • 堀越 啓吾(立教大学)
  • 今井 広紀(大阪公立大学)

 

 

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    • 09:40 10:00
      研究会: 開会式
    • 10:00 11:00
      弦理論
      • 10:00
        A Consistent Holographic Analysis of Anomaly-induced Charge Transport in the D3/D7 Model 20m

        We propose a scheme to correctly incorporate the contribution of the chiral anomaly in

        the D3/D7 model to calculate chiral transport phenomena. To ensure the D7-brane wraps

        $S^5$ appropriately and the Wess-Zumino term is switched on, we allow the D7-brane to rotate in the compactified extra directions and perform the analysis accordingly. To demonstrate that this calculation procedure works well, we specifically compute the magnetoresistance in the D3/D7 model. We find that a finite axial chemical potential is realized and the negative magnetoresistance is enhanced by the anomaly contribution.

        Speaker: Kensei Tanaka (Chuo university)
      • 10:20
        ホモトピー代数に基づく弦の場の理論における境界項と二点振幅 20m

        ホモトピー代数に基づく場の理論において、作⽤はシンプレクティック形式とBRST演算⼦によって構成され、変分原理の成⽴は「巡回性」という代数的条件に対応する。しかし、時空に境界を導⼊すると、部分積分の境界寄与によって巡回性が壊れ、作⽤変分から運動⽅程式が得られない。
        本研究では、巡回性の破れを補償する境界演算⼦を系統的に構成し、オンシェル場を境界項へ代⼊するだけで⾃由弦理論の⼆点振幅が得られる枠組みを与える。

        Speaker: 泰宇 厳 (京都大学)
      • 10:40
        ボソン閉弦の場の理論での3点振幅とアインシュタイン-ヒルベルト作用 20m

        零質量セクターでのボソン閉弦の場の3点振幅を計算し,アインシュタイン-ヒルベルト作用を重力場の3次のオーダーで展開した項と一致することを確認した.この結果は,一般相対論が弦の場の理論の低エネルギー有効理論として導かれることを強く示唆している.これは,弦理論の計算から予想される弦と重力との関係を弦の場の理論からも正しく導くことができることを意味し,重力理論を弦の場の理論からも問題なく記述できることを保証するものである.

        Speaker: 球真 長谷川
    • 11:00 11:15
      休憩
    • 11:15 12:15
      弦理論・場の理論
      • 11:15
        超弦理論からの真空探索に向けた量子アルゴリズム 20m

        素粒子の統一理論として見た超弦理論において、知られている問題のひとつにランドスケープ問題がある。現実的なコンパクト化の手法としてフラックスコンパクト化が知られているが、このようにして得られる4 次元の真空解は膨大な数が存在し、その全てで負の宇宙項を持ってしまう。このうちで現実に合うような正の宇宙項をもつ真空解を実現するシナリオがいくつか提案されているが、そのような真空解が本当に存在し、どの程度の数存在するかは知られていない。この問題へのアプローチとして多数の真空を数値的に調べる試みがなされてきたが、可能な真空の数が膨大なため探索できていない領域が多い。
         本研究は、この超弦理論の真空探索に対して量子アルゴリズムによる量子加速を目指すものである。そのためにまずはランドスケープの状況を抽象・簡略化したトイモデルのもとで、実際に真空探索を行う量子アルゴリズムを実現し、小規模な系での古典シミュレーションを行なった。本研究で実現した量子アルゴリズムとこの古典アルゴリズムの計算量を比較し、どの程度の量子加速が見込まれるか検証する。

        Speaker: 調 猿渡 (KEK/総研大)
      • 11:35
        常微分方程式から見る共形場理論と超対称ゲージ理論 20m

        2次元共形場理論と4次元 $\mathcal{N}=2$ 超対称ゲージ理論の対応は、Alday-Gaiotto-TachikawaによるLiouville conformal blockとNekrasov公式の対応をはじめ、物理や数理物理の興味深い対象である。本発表では、その一端を常微分方程式の視点から見たい。特に、準古典BPZ方程式から(arXiv:2201.04491)、あるいは量子Seiberg-Witten曲線から(arXiv:2601.05204)、Fuchs型の常微分方程式が現れることをレビューする。結果は数学的なものに留まらず、重力の物理、ブラックホール摂動論を解析的に解く有用な道具でもある。

        Speaker: 翔太 石川 (立教大学)
      • 11:55
        レプトン-クォーク散乱における量子もつれとレプトクォークのフレーバー構造 20m

        近年、場の量子論と量子エンタングルメントの関連性を探る研究が活発に行われている。特に、散乱の終状態におけるエンタングルメントの最大化・最小化という要請から、理論の対称性や物理定数を導出するアプローチが注目を集めている。本発表では、$\ell q \to \ell q$ 散乱過程におけるエンタングルメントの最小化が、仮説上の粒子であるレプトクォークのBアノマリーに動機付けされるフレーバー構造を自然に予言する可能性について議論する

        Speaker: 純也 山岸 (千葉大学 素粒子理論研究室)
    • 13:00 14:00
      宇宙論3/7
      • 13:00
        お家パソコンで重力波を解析したい! -VItaminを用いたパラメータ推定- 20m

        機械学習は,重力波解析の様々な場面で使われているが,その一つに,パラメータ推定というものがある.パラメータ推定とは,その名の通り,重力波イベントで合体した天体の質量やスピン,重力波源までの距離,傾斜角などを推定することである.パラメータ推定の標準的な技法には,マッチドフィルターを用いたLALInference[1]や,Bilby[2]などのベイズ推定を用いたものがあるが,こうした推定,特に高精度なものには,たくさんの計算資源と,数時間~数日といった膨大な時間がかかる.

        しかし,NSBHやBNSによる重力波の検出から,電磁波の放出を探すためには,1分以内のような速い解析が求められる.また,従来の技法によるパラメータ推定は,スーパーコンピュータや,研究室で買うような高額なコンピュータへのアクセスが限られている人びとにとっては,参入の障壁になってきた.

        機械学習(条件付き変分オートエンコーダー:CVAE)とベイズ推定を用いたパラメータ推定ソフト「VItamin」は,訓練には数時間かかるものの,訓練を終えれば,数十秒でBBH合体による重力波のパラメータ推定を行うことができる.

        この発表では,GitHubレポジトリで公開されたVItaminのモデルを一部改造し,参考文献[3]でも行われた,シミュレーション波形の解析テストの他,実際の波形(GW170809,GW190412,GW190512,GW200202)について解析テストを行った結果を報告する.実際の波形の解析結果は,データの概形は捉えていたものの,距離が近めにでたり,傾斜角が一定の値で貼り付く現象が見られた.また,遠くで発生したイベントでは,質量が大きめに出る現象が見られた.前者については,事前分布に強く引きずられる挙動や,学習が十分に進まなかった可能性が示唆され,後者については,検出器質量を推定しているために,宇宙論的赤方偏移zによる影響が見られていると考えられた.その他,VItaminのノイズの扱い(設計感度を元にした定常ガウスノイズで訓練)も影響を与えていると考えられる.

        今回の解析では,家庭用のデスクトップパソコンで行った.テストデータの作成には10時間,訓練データの作成や訓練には数時間-1日,各々の解析には数十秒程度かかった.今回の結果は,家庭で買えるPCでも重力波の解析ができるといった,「インクルーシブ」な物理学への第一歩と言えるだろう.


        • 参考文献[1]: https://lscsoft.docs.ligo.org/lalsuite/lalinference/index.html 2026年2月20日閲覧
        • 参考文献[2]: https://bilby-dev.github.io/bilby/ 2026年2月21日閲覧
        • 参考文献[3]: "Bayesian parameter estimation using conditional variational autoencoders for gravitational-wave astronomy"(Hunter Gabbard, Chris Messenger, Ik Siong Heng, Francesco Tonolini & Roderick Murray-Smith ,2021 https://www.nature.com/articles/s41567-021-01425-7)
        Speaker: 匿名
      • 13:20
        Quasi topological gravityにおけるbraneworld 20m

        Quasi topological gravity(QTG)は高階微分重力理論の一つであり、真空解としてregular black holeを持つ場合があることが知られている。宇宙論に関係する応用も存在し、BHの場合と同様に特異点を解消することが予想されており、cosmological QTGもしくはGeometric inflationと呼ばれている。これらのモデルではinflatonなどを導入することなく重力の寄与のみでinflationを説明することができる。これは主に高次の曲率項の効果により引き起こされ、これらの影響があまり効いてこないほどscaleが大きくなると自然にinflationが終わる。これに加えて後期の時間発展も$\Lambda$CDMから予想されるものと非常によく一致していることが報告されている。そのためQTGはBHにおける特異点の回避だけでなく宇宙論的な注目も浴びるようになってきている。しかし、課題も存在し、inflatonなどを導入せずにQTGの効果のみで実際の観測結果から要求されるようなe-folding numberを実現するには初期のエネルギー密度がsuper-Planckianになってしまうことが指摘されている。
        ここでは、BHやFLRW時空以外のQTGの応用としてbraneworldを考え、これまでの様に特異点は回避されるかどうかと自然にinflationを記述できるかを中心に議論する。

        Speaker: 吏貢 吉本 (名古屋大学)
      • 13:40
        高木(仮) 20m
    • 10:00 11:00
      場の理論 1
      • 10:00
        質量ギャップをもつ漸近的自由な理論における演算子積展開を用いた低エネルギー展開 20m

        摂動展開は場の量子論における標準的な計算手段であるが、QCDに代表される漸近的自由な理論の低エネルギー領域では有効ではない。一方で、まさにこの摂動計算の難しい領域に、QCDのカラー閉じ込めやハドロン質量など、解明の必要のある物理が存在し、新たな計算方法の開発が望まれている。

        最近Takaura[1]によって、質量ギャップをもつ漸近的自由な理論において、物理量の解析的構造に着目して、摂動展開を一般化した枠組みである演算子積展開(OPE)を用いて、物理量の低エネルギー展開を求める方法が提唱された。この方法は、物理量$S(p^2)$の、低エネルギー領域で有効な展開として低エネルギー展開$S_{Low}(p^2) = \sum_m c_m (p^2/M^2)^m$を、高エネルギー領域で有効かつ既知の手順によって得られるOPEから得るために、低エネルギー展開のボレル変換を利用する。同時に、OPEにもボレル変換と同一の変換(デュアル変換)を行うが、それだけでは十分ではなく、真の物理量とOPEとの解析的構造の違いに由来するDuality-Violation(DV)項を考えて初めてOPEから低エネルギー展開が求められる。ただし、DV項の代わりに物理量の詳細に依存しない「重み関数」を用いることが可能であり、これによって低エネルギー展開係数の最低次$c_0$が得られていた。

        先行研究の不満足な点として、低エネルギー展開係数の最低次しか求められないという点があった。これは、重み関数を発見法的に得ていたことに由来する。そこで本発表では、Takaura[1]の方法をさらに発展させ、①重み関数を系統的に導出する、②DV項を積極的に用いる、の二通りの方法で、一般次数の低エネルギー展開係数$c_m$が求められることを示す。また、ここに現れるDV項が、OPEの漸近級数としての振る舞いと打ち消しあうという性質についても議論する。トイモデルとして$N\gg1$での$O(N)$非線形シグマモデルを用いて本方法の有効性を確認する。

        [1]Hiromasa Takaura. “Low energy limit from high energy expansion in mass gapped theory”. In: JHEP 10 (2024), p. 085. doi: 10.1007/JHEP10(2024)085. arXiv: 2404.05589
        [hep-th].

        Speaker: 一 古田 (東北大学)
      • 10:20
        拡散過程に基づく厳密くりこみ群 20m

        厳密くりこみ群を拡散過程に基づいて定式化する。
        まず、有効作用のBoltzmann因子がしたがう厳密くりこみ群方程式を、拡散過程を記述する場のLangevin方程式に読み替える。
        さらに、場のLangevin方程式を数値的に解いて得られる場の配位から、結合定数を決定する手法についても触れる。

        Speaker: 海地 溝畑 (静岡大学,土屋素粒子論研究室)
      • 10:40
        超共形指数のBethe Expansionを用いた計算 20m

        $4d\ \mathcal{N}=4$ super Yang-Mills理論における超共形指数の計算方法の一つに,Bethe expansion というものがある.Bethe expansion とは,角運動量の化学ポテンシャルについてある特殊な条件下で,超共形指数の積分を,Bethe Ansatz方程式の解の集合で取られる有限和に書き直すことが出来る強力な計算手法である.
        Bethe Ansatz方程式の解には離散的な解と連続的な解が出てくるが,ゲージ群のランク$N\ge3$から出てくる連続的な解からの寄与の評価については上手くいっていなかった.しかし$N=3$における連続的な解からの寄与について,その評価法が提案された.
        本発表は,このBethe expansion の手法について,特に$N=3$での連続的な解からの寄与の評価法について,arXiv:2411.12018[hep-th]のレビューを行う.

        Speaker: 恒矢 為田 (立教大学)
    • 11:00 12:00
      宇宙論3/8
      • 11:00
        スカラーテンソル理論の現象論 20m

        TBD

        Speaker: Tomoki KATAYAMA
      • 11:20
        指数関数型クインテッセンスにおける微調整問題の解析的定量化 20m

        DESIの観測により、クインテッセンスのような時間変動するダークエネルギーの存在が示唆されている。クインテッセンスのうち指数関数型ポテンシャルをもつものは有力な候補の一つであるが、その初期条件に必要なファインチューニングの度合いは、宇宙項の場合とは異なり、これまで定量的に明らかにされていなかった。本研究では、インフレーション後にkinationを経るシナリオにおいて、現在のダークエネルギー密度を説明し、かつビッグバン元素合成に無矛盾であるための初期条件に対する制約を解析的に導出した。その結果、宇宙項に比べ、微調整問題が緩和している可能性が示された。さらに、原始重力波による検証可能性についても議論する。

        Speaker: 直人 槇木 (SOKENDAI, NAOJ)
      • 11:40
        非最小結合をもつ単一スカラー場におけるユニタリティの再考 20m

        重力と非最小結合したスカラー場の理論は、ヒッグスインフレーションなどにより動機づけられている。この理論は Weyl 変換により非最小結合を含む Jordan frame から、非最小結合を含まない Einstein frame へと移ることができるが、フレーム間での摂動的ユニタリティの整合性は必ずしも自明ではない。

        本発表では、6点散乱振幅を明示的に計算することで、両フレームにおけるユニタリティに関する結論が一致することを示す。

        Speaker: Mr 西木 友哉 (KEK)
    • 13:00 16:00
      宇宙論的摂動論の勘所?! 3h

      インフレーション宇宙論は、現在、初期宇宙を記述する標準的な理論的枠組みとして広く受け入れられています。しかしながら、その詳細なモデルの解明はいまだ途上にあり、着実ではあるものの、さらなる探究を要する段階にあります。初期宇宙の理論モデルを観測結果と結び付けるためには、(i)初期ゆらぎの生成過程を理論的に明らかにすること、ならびに(ii)それらの初期ゆらぎがどのように観測可能量として現れるのかを理解すること、という二つの側面がともに重要となります。
      本講義では、前者に焦点を当て、宇宙論的摂動論の基本的な考え方および解析手法を体系的に整理します。その上で、tree levelの計算を信用してよい根拠として、ループ補正が抑制される機構について、対称性の観点からの一般的な議論を展開したいと思います。

      Speaker: Takahiro Tanaka
    • 10:00 11:30
      フレーバーアノマリーの現状とフレーバー理論の進展 1h 30m

      近年のフレーバー物理の精密測定および精密計算により、レプトン普遍性や CKM 行列のユニタリティの検証、ならびにいくつかの稀崩壊の分岐比において、標準模型からのずれを示唆するフレーバーアノマリーが報告されている。本講演では、b→cτν 過程を含む様々な過程の最新状況をグローバルフィットの観点から整理し、可能な新物理シナリオや、アノマリーと相関をもつ他の観測量との相関を議論する。さらに、非自明だが、CP を破る物理量である EDM との相関も紹介する。また最近の進展として、Ds+→ℓ+ν に対するフル1ループの EW/QED 補正が、CKM ユニタリティ検証におけるアノマリーを解決しうることを説明する。最後に、K中間子について、K→μ+μ- における K_L-K_S 干渉効果を紹介する。これが直接的CPの破れの指標に対応することを示し、将来感度の見積もりや、フレーバー物理の将来展望を議論する。

      Speaker: Teppei Kitahara (Chiba University)
    • 11:30 13:00
      昼休憩 1h 30m
    • 13:00 14:30
      クォークの閉じ込め問題を箱に入れて解く (Solving QCD in a box and adiabatic continuity) 1h 30m

      素粒子標準模型のうち、核力の基礎理論に当たる量子色力学(QCD)は低エネルギー領域で強結合理論になっており、摂動論を超えた場の量子論の取り扱いが必要不可欠である。特に、理論の基本自由度であるグルーオンおよびクォークが漸近状態に存在しない、というカラー閉じ込め問題は低エネルギーの強結合領域が本質的に重要な物理である。ここではQCDを小さな箱に(”適切な”境界条件付きで)入れると、具体的な計算が実行できてそこでの性質が面白いくらい私たちのハドロン物理の真空がもつ性質を上手く再現していることを紹介したい。

      Speaker: Yuya Tanizaki (YITP)
    • 15:00 16:20
      量子重力理論
      • 15:00
        二次元dilaton重力理論とランダム行列 20m

        二次元dilaton重力理論は二次元時空の計量にdilatonと呼ばれるスカラー場$\Phi$を結合させた理論であり、dilatonポテンシャル$V(\Phi)$と呼ばれる関数で特徴づけられる。その中でも$V(\Phi) = \Phi$の場合(Jackiw-Teitelboim重力)とランダム行列理論の間にはSaad-Shenker-Stanford対応と呼ばれる双対性があることが知られている。
        本発表では、$V(\Phi)=\Phi + \epsilon \exp{(-\alpha \Phi)}$ と変形したときに$\epsilon$に関する摂動論が円錐特異点を持つ双曲面の足し上げに帰着される事を利用して、類似の対応がより一般の$V(\Phi)$を考える場合にも成り立つことを見る。この発表は論文(arXiv:2006.13414[hep-th])のレビューである。

        Speaker: 足立 凌 (京都大学素粒子論研究室)
      • 15:20
        AdS₃同士の接合によるclosed universeの導出とCFT側での状態 20m

        本発表では、AdS₃時空の接合によって構成される閉宇宙解とそのホログラフィック双対についての先行研究を概説する。特に、薄いシェルを用いたAdS時空の貼り合わせによりビッグバン・ビッグクランチ型宇宙が得られる構成と、それが境界CFTにおける重い演算子挿入や部分エンタングル熱状態(PETS)としてどのように記述されるかをレビューする。

        Speaker: 倉増 翔 (立教大学大学院理学研究科)
      • 15:40
        10 次元ヘテロ超重力における新たなブラックブレーン解と相転移 20m

        非超対称ブラックホールはしばしば動的不安定性を示し,より安定な相への遷移を記述すると考えられている.そのため,それらの性質を解明することは弦理論における時空の安定性や相構造を理解する上で重要である.本研究では,10次元ヘテロ超重力における非超対称ブラックブレーンの新たな厳密解を与える.我々のブラックブレーン解は2種類のゲージ電荷をもつにもかかわらず解析解であり,これはヘテロ弦におけるブレーンの分類に関する近年の発展を拡張するものである.また,これらの解は,既知の非臨界次元における解を臨界次元へ埋め込むための新しい方法を提供する.
        さらに,このブラックブレーン上で非可換ゲージ場の摂動解析を行うことにより,温度が低下すると自発的に対称性が破れ,ゲージ場凝縮を伴う動的不安定性が発生することを解析的に示した.この不安定性は,ヘテロ超重力におけるブラックブレーンの相転移を意味し,未発見のブラックホール解の存在を解析的に予言している.
        また,構築したブレーン解から,標準模型を導出するシナリオがつくれるかについても議論する.

        Speaker: 近澤 聖賢
      • 16:00
        三木(仮) 20m
    • 08:00 18:00
      休日 10h
    • 08:00 18:00
      休日 10h
    • 08:00 18:00
      休日 10h
    • 10:00 11:30
      代数的ベーテ仮説入門 (佐藤純) 1h 30m

      【概要】
      ベーテ仮説とは,一次元量子多体系の
      エネルギー固有値および固有ベクトルを厳密に構成する手法である。
      ベーテ仮説により可解な系は量子可積分系と呼ばれ,
      相互作用のある量子多体系で物理量を厳密に計算できる模型として,
      統計力学の基礎研究において重要な役割を果たしてきた。

      本講義では,量子可積分系の典型例であるハイゼンベルクXXZ模型を題材に,
      その代数的構造(量子逆散乱法)の基礎を板書形式でじっくりと解説する。
      特に,1次元量子系(XXZ模型)と2次元古典系(6頂点模型)の対応関係から出発し,
      R行列,Yang-Baxter方程式,およびMonodromy行列を用いた
      固有状態の代数的構成法について初学者向けに導入を行う。

      【構成】
      1. 1次元量子系:XXZ模型の定義
      2. 2次元古典系:6頂点模型と転送行列
      3. R行列とYang-Baxter方程式
      4. Monodromy行列とYang-Baxter代数
      5. XXZ模型の対角化とBethe方程式

      【参考文献】
      [1] L. D. Faddeev,
      "How algebraic Bethe Ansatz works for integrable model",
      arXiv:hep-th/9605187 (1996).
      [2] V. E. Korepin, N. M. Bogoliubov, and A. G. Izergin,
      "Quantum inverse scattering method and correlation functions",
      Cambridge University Press (1993).
      [3] R. J. Baxter,
      "Exactly solved models in statistical mechanics",
      Academic Press, London (1982); Dover edition (2007).

      Speaker: Mr 純 佐藤 (東京工芸大学)
    • 11:30 13:00
      昼休憩 1h 30m
    • 13:00 14:30
      代数的ベーテ仮説入門 (佐藤純) 1h 30m

      【概要】
      ベーテ仮説とは,一次元量子多体系の
      エネルギー固有値および固有ベクトルを厳密に構成する手法である。
      ベーテ仮説により可解な系は量子可積分系と呼ばれ,
      相互作用のある量子多体系で物理量を厳密に計算できる模型として,
      統計力学の基礎研究において重要な役割を果たしてきた。

      本講義では,量子可積分系の典型例であるハイゼンベルクXXZ模型を題材に,
      その代数的構造(量子逆散乱法)の基礎を板書形式でじっくりと解説する。
      特に,1次元量子系(XXZ模型)と2次元古典系(6頂点模型)の対応関係から出発し,
      R行列,Yang-Baxter方程式,およびMonodromy行列を用いた
      固有状態の代数的構成法について初学者向けに導入を行う。

      【構成】
      1. 1次元量子系:XXZ模型の定義
      2. 2次元古典系:6頂点模型と転送行列
      3. R行列とYang-Baxter方程式
      4. Monodromy行列とYang-Baxter代数
      5. XXZ模型の対角化とBethe方程式

      【参考文献】
      [1] L. D. Faddeev,
      "How algebraic Bethe Ansatz works for integrable model",
      arXiv:hep-th/9605187 (1996).
      [2] V. E. Korepin, N. M. Bogoliubov, and A. G. Izergin,
      "Quantum inverse scattering method and correlation functions",
      Cambridge University Press (1993).
      [3] R. J. Baxter,
      "Exactly solved models in statistical mechanics",
      Academic Press, London (1982); Dover edition (2007).

      Speaker: Mr 純 佐藤 (東京工芸大学)
    • 15:00 16:20
      宇宙論3/13
      • 15:00
        非リーマン幾何学におけるパリティ対称性の破れの探求 20m

        [1]において、スカラー場を含むパリティ対称性を破る相互作用におけるテンソル摂動についての研究が行われている。本研究でこの模型におけるベクトル摂動について検討したところ、動的な自由度が存在しないことがわかった。このことから、曲率を重力の表現として用いる理論(リーマン幾何学)においてはベクトル摂動は動的でないと期待される。そこで、本研究では非リーマン幾何学に基づく重力理論に着目し、パリティ対称性の破れを含む項が存在する場合の模型に含まれる自由度について研究を行った。非リーマン幾何学の1つであるSymmetric Teleparallel Gravityに、スカラー場を含むパリティ対称性を破る項を加えたときに、一般相対性理論では動的でないベクトル摂動が動的になることが指摘された[2]。本公演では、これを拡張し、広いクラスのパリティ対称性を破る項を考える[3]。
        \begin{align}
        S=\int d^4x\sqrt{-g}\bigg(-\frac{\mathbb{Q}}{2}+\sum^6_{n=1}f_n\mathcal{F}n+\sum^{12}{n=1}g_n\mathcal{G}n+\sum^{44}{n=1}d_n\mathcal{D}n-\frac{1}{2}\partial\mu\phi\partial^\mu\phi-V(\phi)\bigg)
        \end{align}
        ここで、$\mathbb{Q}$はSTGの重力作用、$f_n,g_n,d_n$は時間のみに依存する係数で、$\mathcal{F}_n,\mathcal{G}_n,\mathcal{D}_n$はそれぞれ、$\mathcal{F}_n=\epsilon \nabla\phi\nabla\phi QQ,\mathcal{G}_n=\epsilon\nabla\phi Q\nabla Q,\mathcal{D}_n=\epsilon\nabla\phi QQQ$を表している。また、nonmetricity tensor Qは、$Q_{\rho\mu\nu}=\nabla_\rho g_{\mu\nu}$で定義されている。上記のモデルは低エネルギーで有効理論として問題はないのか、高エネルギーで負の運動項が現れるのかについてベクトル摂動を用いて議論する。

        [1]Atsushi Nishizawa et.al. Phys.Rev.D 98 (2018) 12, 124018
        [2]Mingzhe Li et.al. Phys.Rev.D 105 (2022) 10, 104002
        [3]Zheng Chen et.al. et.al. JCAP 06 (2023) 001

        Speaker: 大和 山中 (岡山理科大学)
      • 15:20
        Ghost-Free Scalar-Tensor Theories with Third-Order Derivatives 20m

        Scalar-tensor theories are modified theories of gravity in which one introduces one or more scalar degrees of freedom in addition to the dynamical metric. Phenomenologically, scalar-tensor theories provide models for cosmological inflation and dark energy, and form a theoretical framework for black holes and other astrophysical objects beyond general relativity. Extending the theory space of scalar-tensor gravity and clarifying its structure are important for exploring the fundamental nature of gravity.

        When one extends a theory by adding higher-order derivative terms, Ostrogradsky ghosts typically propagate, which is physically undesirable. Therefore, one must impose appropriate conditions to eliminate ghost instabilities.

        This talk is based on our paper, arXiv:2601.09164, and discusses the motivation for constructing ghost-free scalar-tensor theories with third-order derivatives, as well as the method used to achieve this.

        Speaker: 元紀 道脇 (立教大学)
      • 15:40
        Effective Potential in de Sitter space-time 20m

        宇宙誕生直後に起きたと考えられている急膨張(インフレーション)は、代表的にはインフラトンと呼ばれる場によって引き起こされる。インフラトンのダイナミクスは主にポテンシャルによって特徴づけられるが、ラグランジアンに現れる(ツリー・レベルの)ポテンシャルは量子効果により修正され、有効ポテンシャルとして記述される。有効ポテンシャルは、例えば電弱真空の安定性評価などで広く用いられてきたが、多くの場合その計算は平坦時空を前提としている。ところがインフレーション期の時空はド・ジッター時空で近似できるため、曲がった時空における有効ポテンシャルを考える必要がある。本発表では、ド・ジッター背景における有効ポテンシャルに対する時空曲率の効果を概観する。

        Speaker: Jun Miyamoto (University of Tokyo)
      • 16:00
        銀河分布に潜む原始非ガウス性の探求 20m

        インフレーション中に生成され得る原始非ガウス性の痕跡は、現在の大スケールにおける銀河分布に刻み込まれることが知られている。単一場インフレーションモデルは観測可能な局所型原始非ガウス性を予言しないため、観測データから検出されれば単一場インフレーションのシナリオを棄却することに繋がる。
         しかし実際の観測データでは、様々な系統誤差によって銀河分布が非等方に歪められてしまっている。一方で、標準的なΛCDM モデルでは、単一場インフレーションは非等方な原始非ガウス性を生むことができない。そこで本研究では、まず非等方銀河パワースペクトルの角度依存性に着目し、系統誤差の影響について議論する。
         また原始非ガウス性が支配的となる大スケールでは、観測領域が有限である効果などが無視できない。本研究では、先行研究では無視されていた補正項を含めて議論し、観測データの振る舞いが原始非ガウス性で説明できる可能性を探る。

        Speaker: Shintaro Nakano (Univ. of Tokyo / Kavli IPMU)
    • 10:00 11:20
      場の理論 2
      • 10:00
        いで(仮) 20m
      • 10:20
        Yang-Mills 理論のexotic な gapped phase を実現する toy model の提案 20m

        近年の対称性の一般化やそれに伴うゲージ理論の理解の発展により、シータ項をもつ 4d Yang-Mills 理論の可能な gapped phase をperimeter law に従う 線演算子で分類することができるという理論的予測 (Wilson-'t Hooft classification)に確証を与えている。その分類から、N=4 ではSPT stacking のない、S,T 変換で自身に戻る exotic なgapped phase の存在が予言されている。これは、$\mathcal{N}=4$ Super YM 理論の S-T orbit からもconsistent な存在で興味深い研究対象である。
        そこで、本研究では full の SL(2,Z) duality をもつ Cardy-Rabinovici model をより SU(N) YM 理論に近い拡張をすることにより、その exotic gapped phase の実現を目指す。従来の Abelian 型 CR model では、このようなgapped phase は実現できなかったが、YM 理論に近いset up として N 次対称群 $S_{N}$ でゲージ化する semi-abelianize することで exotic gapped phase が実現しうるポテンシャルの構成ができた。本発表では、はじめに YM 理論のgapped phase について 簡単に review し、その後研究の内容について話す予定である。

        Speaker: 颯 片山 (YITP, Kyoto University)
      • 10:40
        $\mathbb Z_2^2$-graded extension of the SUSY Yang-Mills theory 20m

        本公演では,SUSY代数を拡張した$\mathbb Z_2^2$-graded SUSY代数により生成される対称性を備えたYang-Mills理論を提案する.ここで,$\mathbb Z_2^2$-SUSYとは$\mathbb Z_2^2=\{00,01,10,11\}$の4種類のラベルによるSUSYの拡張であり,これを考えることで,boson, fermionを超えた奇特な粒子をそなえた理論を自然に構成することが可能になる.これは,既存の場の理論の枠組みを超える足掛かりになり得る.

        Speaker: 蓮 伊藤 (大阪公立大学 理学研究科)
      • 11:00
        井上(仮) 20m
    • 13:00 14:20
      物性
      • 13:00
        Chern-Simons matter理論の双対性の網(Duality web)と強相関電子系への最近の応用 20m

        強相関電子系の典型例である分数量子ホール(FQH;Fractional Quantum Hall)系は、時間反転対称性の破れた(2+1)次元トポロジカル秩序相であり、その低エネルギー有効理論はChern-Simons理論によって記述されることが知られている。近年、ゼロ磁場下においても同様のトポロジカル秩序相が実験的に観測されたことを受け、セミオン結晶相やエニオン超伝導相といった、エニオン励起が重要な役割を果たす新たな量子相への関心が再燃している。

        こうした量子相とその間のトポロジカル相転移は、演算子の自由度を分離するパートンの方法によって一般的に構成できる。また、そのユニバーサリティクラスはChern-Simons matter理論によって記述され、物理的に等価な異なるパートン分解は、レベル・ランク双対をはじめとする場の理論の双対性の網(Duality web)によって対応づけられる。

        本講演では、パートンの方法による量子相とトポロジカル相転移の一般的な構成法を紹介し、場の理論の双対性が異なる物理的描像を接続し、新たな量子相を記述する最近の応用例について議論する。

        Speaker: Yuto Nakajima (University of Minnesota, Twin Cities)
      • 13:20
        (1+1)次元共形場理論のエンタングルメント エントロピーに対する境界効果 20m

        エンタングルメントは量子多体系の相の理解において極めて重要である。1次元量子細線などの量子多体系の低エネルギー領域の物理は(1+1)次元共形場理論(CFT)で有効的に記述できることがあり、CFTのエンタングルメントを調べることはそのような系の物性を理解する上で有用である。
        多体系のエンタングルメントを定量する指標の一つにエンタングルメントエントロピー(EE)がある。 EEはRényiエンタングルメントエントロピー(REE)と呼ばれる量の$n\to 1$極限として得られる。REEを経路積分的に計算するreplica法と呼ばれる手法がある。この手法により、周期的境界条件あるいは無限系、片側のみに境界条件のある半無限系、および両側に同じ境界条件が課されている有限系のそれぞれに対して、(1+1)次元CFTのREEの一般的な表式が導かれている。
        一方で、両端に異なる境界条件が課されている空間1次元系の場合、REEには境界エントロピーと呼ばれる定数の寄与に加え、混合境界を反映する非自明な x依存の普遍補正が現れることが示唆されており、その解析的表式はごく限られた例を除いて知られていない[1]。この困難は、replica法が誘導する“sewing条件“と境界条件の切り替わる点に登場する演算子(boundary changing operator)が共存することに起因する。
        そこで、本研究では、任意の部分領域長での計算からx=L/2の場合に限定する代わりに、より一般のCFTに対してREEの境界条件からの寄与を求めることを目指す。部分領域長がx=L/2の場合は、"folding trick“と呼ばれる手法を用いて、sewing条件をある種の境界条件に書き換えることができる。この場合、計算すべきreplica分配関数は4辺上に異なる境界条件が課された矩形領域上の多成分CFTの分配関数となるが、これは2つの境界状態の間の開弦チャネル振幅として解釈でき、弦理論の文脈で調べられてきた量に帰着できる[2]。
        本研究の主題は、弦理論のD-braneの文脈で発展してきた手法を用いて、rational CFTと呼ばれるクラスのCFTに対し、異なる境界条件が課された場合のREEの境界からの寄与を計算し、modularデータによって与える表式を得ることである。
        本発表は、発表者の指導教官である押川正毅教授との進行中の共同研究に基づくものである。
        [1] B. Estienne, Y. Ikhlef & A. Rotaru. Rényi entropies for one-dimensional quantum systems with mixed boundary conditions. SciPost Phys. 19, 119 (2025)
        [2] R. Bondesan, J. Dubail, J.L. Jacobsen & H. Saleur. Conformal boundary state for the rectangular geometry. Nuclear Physics B. 862, 2, 553-575 (2012)

        Speaker: Mr Shuma Nakashiba (Institute for Solid State Physics)
      • 13:40
        Holstein 模型における局所保存量の不在証明 20m

        量子多体系において、模型の持つ局所保存量の構造は熱平衡化や輸送現象に関わる重要な要素である。近年、局所保存量を網羅的に同定する厳密な手法が量子スピン系において開発され[1,2]、フェルミオン系[3,4]やボソン系[5]といった粒子系にも応用されている。

        一方で、統計性の異なる種類の粒子を含む模型においては、局所保存量の構造は十分に解明されていない。これに対し、本講演では代表的な電子格子結合系であるHolstein模型[6]
        $ \hat{H}= t \sum_{i=1}^L (\hat{c}^\dagger_i \hat{c}_{i+1} + h.c. ) + g \sum_{i=1}^L \hat{n}_i \bigl (\hat{b}_i^\dagger + \hat{b}_i \bigr) + \omega \sum_{i=1}^L \hat{b}^\dagger_i \hat{b}_i $
        について、$t,g,\omega \neq 0$のとき非自明な局所保存量が存在しないことを解析的に示す。この結果は、模型の量子カオス性[7]や輸送特性[8]に関する既存の結果と整合する。

        また、講演では、電子間相互作用を追加したHolstein-Hubbard模型
        $ \hat{H}= t \sum_{i=1}^L \sum_{\sigma} (\hat{c}^\dagger_{i,\sigma} \hat{c}_{i+1,\sigma} + h.c. ) + g \sum_{i=1}^L \sum_{\sigma} \hat{n}_{i,\sigma} \bigl (\hat{b}_i^\dagger + \hat{b}_i \bigr) + \omega \sum_{i=1}^L \hat{b}^\dagger_i \hat{b}_i + U \sum_{i=1}^L \sum_{\sigma \neq \sigma'} \hat{n}_{i,\sigma}\hat{n}_{i,\sigma'} $
        についても非自明な局所保存量の不在を議論する。これらの結果は、フェルミオン・ボソン結合系を含む、より一般的な系で局所保存量の構造を解析的に議論する足がかりになると考えられる。

        [1]N. Shiraishi, EPL $\mathbf{128}$, 17002 (2019).
        [2]A. Hokkyo, arXiv:2501.18400 [cond-mat.stat-mech].
        [3]K. Fukai, Phys. Rev. Lett. $\mathbf{131}$, 256704 (2023).
        [4]M. Futami, arXiv:2507.20106 [cond-mat.stat-mech].
        [5]M. Yamaguchi and N. Shiraishi, in. prep.
        [6]T. Holstein, Ann. Phys. $\mathbf{8}$, 325 (1959).
        [7]D. Jansen, J. Stolpp, L. Vidmar, and F. Heidrich-Meisner, Phys. Rev. B $\mathbf{99}$, 155130 (2019).
        [8]D. Jansen and F. Heidrich-Meisner, Phys. Rev. B $\mathbf{108}$, L081114 (2023).

        Speaker: 風雅 石井 (東京大学教養学部)
      • 14:00
        Petz 写像による Lindblad ダイナミクスの逆過程と古典逆拡散過程 の関係 20m

        Petz写像(Bayesの定理の量子版)が与えるLindbladダイナミクスの逆過程[Kwon and Kim 2019, Kwon et al. 2021]と、Bayesの定理に基づく古典逆拡散過程[Anderson 1982]の関係を明らかにする。Lindblad方程式を半古典近似することでWigner関数に対するFokker–Planck型の方程式を得る。同様の手順をPetz写像によるLindbladダイナミクスの逆過程に適用することで、逆拡散過程を与える方程式を得る。さらにデコヒーレント状態に対して、ある条件下では半古典近似なしで、確率分布に対する拡散過程と逆拡散過程の関係に完全に一致することを示す。最後に、本研究の応用として量子状態に対するくりこみ群方程式を考察する。本発表の内容はarXiv:2510.18512に基づく。

        Speaker: 亮太 那須 (静岡大学創造科学技術大学院自然科学系教育部情報科学専攻)
    • 10:00 11:00
      素粒子現象論
      • 10:00
        生成AIによるS4'モジュラーフレーバー模型の解析 20m

        フレーバー模型に対する従来の分析では理論に含まれるフリーパラメータを現実的な時間で最適化するため、探索領域をある程度制限する手続きが一般的である。本研究では生成AIの一種である拡散モデルを用いて、模型の詳細によらず適用可能な解析手法を提案する。特に具体例として$S_{4}^\prime$モジュラーフレーバー模型を取り上げ、クォーク質量・CKM行列・Jarlskog不変量を再現するニューラルネットワークを構築する。 訓練されたネットワークを用いて新しいパラメータを生成することにより、探索空間に大きな制限を課すことなく様々なパラメータ解を発見した。更に同模型において自発的なCP対称性の破れを見出すなど、パラメータ解の候補を機械が生成するという逆問題的アプローチを活かすことで、フレーバー模型の予言が俯瞰的に検討されうることを議論する。本発表の参考文献は arXiv:2503.21432 [hep-ph] および arXiv:2504.00944 [hep-ph] である。

        Speaker: 皐 西村 (九州大学)
      • 10:20
        ディラックニュートリノとアシンメトリックダークマターの起源 20m

        標準模型を$U_X(1)$、$z_4$対称性を用いて拡張し、重いスカラー粒子Sの期待値より.シーソー機構を用いて軽い現在のニュートリノの質量を説明する。
        また同様の機構によりアシンメトリックダークマターの質量を導き、それが実際のダークマター観測と矛盾していないかを数値計算によって確かめる。

        Speaker: 石田 恵海 (奈良女子大学)
      • 10:40
        冨山(仮) 20m
    • 11:00 11:20
      数理物理
      • 11:00
        行列空間における退化集合と位相不変量 20m

        自由フェルミオンに対するトポロジカル相は、位相的K理論の分類空間への写像として記述でき、具体的にはハミルトニアンを行列値関数としてモデル化できる。フェルミ準位でのエネルギーギャップが保たれる限り、ホモトピーによる変形によっても位相不変量は不変である。一方、変形の途中でギャップが閉じると不変量は変化する。本発表では、ギャップが閉じるホモトピーによる変形による位相不変量の変化を、行列空間の退化集合から定義されるコホモロジー類を用いて記述できることを説明する。

        Speaker: 堀江 香幣 (東京科学大学理学院数学系)
    • 13:00 14:00
      共形同値性に基づく対称的インスタントンの次元降下が導く双曲磁気単極子・渦糸によるホログラフィー整合なクォーク閉じ込め 1h

      クォーク閉じ込めは素粒子物理学における中心的未解決問題の一つである。
      Wilsonループ期待値の面積則は広く受け入れられた閉じ込め判定基準であるが,
      4次元Yang–Mills理論において第一原理からその挙動を解析的に厳密に導出する
      ことは依然として達成されていない。磁気モノポールや中心渦糸といったトポロ
      ジカル欠陥が,非摂動的真空に赤外無秩序を誘起し得るという半古典的閉じ込め
      機構は長年示唆されてきた。しかし従来,これらの欠陥は4次元Yang–Mills理論
      とは異なる仮説的有効理論を介して,しばしば互いに独立な対象として扱われて
      きた。

      本講演では,Yang–Mills理論における唯一のトポロジカルソリトンである4次
      元ユークリッド空間のインスタントンを,空間対称性を保つように制限して得ら
      れる「対称的インスタントン」配位が定義する,制御可能な半古典的セクターに
      焦点を当てる。共形同値性を指導原理として用いることで,4次元ユークリッド
      空間上の対称的インスタントンが,次元降下により負の定曲率をもつ3次元双曲
      空間(AdS3​)上のAtiyah型磁気モノポール,あるいは2次元双曲空間上のWitten-
      Manton型渦糸へと一貫して帰着することを示す。この幾何学的再構成により,イ
      ンスタントン・磁気モノポール・渦糸を単一の枠組みに統合し,閉じ込めを統一
      的に理解する道筋が得られる。

      さらに,この対称的インスタントン・セクターにおいて,半古典的希薄ガス近
      似の範囲内でWilsonループの面積則が成立することを示す。加えて,双曲型磁気
      モノポール配位が漸近境界データによって一意に再構成されることを指摘し,ホ
      ログラフィック対応の限定された一形式を与える。本枠組みは,負曲率幾何が赤
      外Yang–Mills理論の有用な再構成をもたらし,境界符号化と赤外無秩序化の機構
      をとりわけ透明にすることを示唆する。時間が許せば,ゲージ場に対するゲージ
      共変なCho–Duan–Ge–Faddeev–Niemi分解の観点からも,以上の結果を位置づける。
      [arXiv: 2507.20372[hep-th]に基づく]

      Speaker: Prof. 慶一 近藤 (千葉大学)
    • 14:00 14:20
      研究会: 閉会式