Conveners
ニュートリノ実験、GRAMS実験、暗黒物質探索、加速器実験
- 飯山 悠太郎 (東京大学)
SKにおける数百MeV以上のニュートリノの事象再構成では、反応で生じたハドロンの検出が難しくハドロンが運動量を持ち去ることで再構成精度が下がっていた。SKにガドリニウムを導入したSK-Gd実験では、中性子の検出効率の向上に加えて中性子捕獲位置の再構成精度も改善するため、中性子検出で得られる情報から中性子の運動量を推定し、もとのニュートリノのエネルギー・到来方向をより良く再構成する手法を開発した。
T2K実験はニュートリノにおけるCP対称性の破れを検証する実験である.2022年度には新型検出器SuperFGDの導入が予定されている.SuperFGDは約200万個のシンチレータキューブを3次元的に並べた検出器であり出力チャンネルも5万6千以上となっている.検出器の正確な理解はニュートリノ反応断面積等の解析に欠かせない.今回は宇宙線等を用いた校正手法の開発についての現状と課題について発表する.
ニュートリノ振動の精密測定によりレプトンのCP対称性の破れを調べるT2K実験では、ニュートリノビームのフラックスを精度良く推定する必要があり、そのためには電磁ホーンの冷却水とニュートリノの親粒子のπ中間子との二次的反応の影響を考慮する必要がある。本研究ではモックアップ試験により電磁ホーン内の冷却水分布をモデル化し、シミュレーションに取り入れることで、フラックスに対する系統的不定性を評価する。
Our goal is distinguishing quark-initiated from the gluon-initiated jet with new neural network models such MLP, CNN, and PointWise model.
GRAMS実験では気球搭載型の液体アルゴンTPC(LArTPC)を用いて宇宙反粒子探索を行う。LArTPCによる実験を気球上で行うためには様々な技術的開発課題がある。例えば、気圧変化や高純度の維持を考慮した液体アルゴン用真空容器や安定な電圧印可システムの構築に加えて、反粒子観測のための検出器統合システムの最適化等である。本講演では気球実験のための開発状況や検出器性能評価の結果について報告する。
GRAMS実験は液体アルゴンTPCを用いた次世代気球・衛星実験であり宇宙反粒子による暗黒物質探索とMeV γ線の観測を主眼に置いている。特に入射荷電粒子の識別には飛跡のdE/dX分布情報と反粒子がAr原子核に捕獲された後に放出される複数のハドロン情報を用いる。本講演では早稲田テストスタンドにおける宇宙線μ粒子捕獲事象測定や加速器ビームを用いた反粒子観測の可能性に関する検討結果を報告する。
ガスTPCは暗黒物質直接探索やコライダー実験などで用いられているが、その位置検出精度は電子ドリフト時の拡散によって制限されていた。近年、陰イオンがドリフトすることによって低拡散のガス(陰イオンガス)が注目され、微細読み出しと組み合わせることでより精密な位置検出が可能であると見込まれている。本公演では、それを実現すべく開発中の微細ピクセル構造の読み出しを持ったガスTPCについて報告する。