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SK実験、ATLAS実験(ミューオントリガー)
- 真下 哲郎 (東京大学)
ニュートリノ事象による中性子の遅延信号を効率的に捉えるために、SK検出器内にガドリニウムを溶解させたSK-Gd実験が稼働中である。中性子信号のエネルギーが高くなり検出効率も大幅に向上するが、その反面にミューオン崩壊電子と一部混入が発生する。そのため中性子と崩壊電子を効率よく識別し、混入を抑える必要がある。本講演では、時間とエネルギーを用いた識別方法で宇宙線ミューオン事象に対する混入率の確認を行う。
2020年、スーパーカミオカンデの純水にガドリニウムを加えたスーパーカミオカンデ-ガドリニウム(SK-Gd)実験が開始された。中性子の検出効率が向上し、高感度での超新星背景ニュートリノ探索を行う。本研究では、宇宙線ミューオンが水中で核破砕によって生成した中性子のGdの捕獲事象を用いた測定器の新たな校正手法を検討している。特に水槽内全域でのエネルギー再構成の改善を目指しており、その現状を報告する。
スーパーカミオカンデでは水中の微弱な光を検出するために光電子増倍管が取り付けられている。現在、ニュートリノ事象による中性子を効率よく捉えるため、ガドリニウムを純水中に溶解したSK-Gd実験が開始している。中性子信号の再構成には光電子増倍管の時間・電荷情報を用いるため、ノイズの量が検出精度に大きく影響する。本講演では、光電子増倍管ノイズの評価に加え、解析的なノイズ除去手法の開発結果を報告する。
LHC-ATLAS実験初段ミューオントリガーのRun3に向けた統合試運転の現状を発表する。検出器の信号を模した試験電荷を入力する全読み出し系の試験、デジタル回路に飛跡パターンを入力するトリガー回路系の試験、チャンネルのノイズ特性調査が包括的に遂行中だ。さらにこれらの機構を、誰でも使えるツールとして整備し、システムの診断装置としてRun3開始後のインフラとして活用予定で、試験項目の最適化も進む。