Speaker
山田 千尋
(大阪大学)
Description
近年の加速器技術の発展による粒子ビームの大強度化に伴って、実験環境の放射線量はより深刻な問題となっている。放射線によるエレクトロニクスへの影響のひとつにソフトエラーであるSingle Event Upset(SEU)がある。これは、放射線が半導体素子内に荷電粒子を生成し、素子の論理を反転させてしまうエラーである。高速中性子は半導体原子核との相互作用で荷電粒子を生成するため、これまでにSEUの発生率などが広く調査されてきた。一方で、熱中性子は素子内にホウ素が含まれていると捕獲反応でα粒子を放出するため、SEUを引き起こす可能性があり、近年議論が増えている。そこで本発表では、実際に高エネルギー実験で用いられるFPGAを使用して熱中性子によるSEUが発生するか調査した結果と今後の展望について報告する。